日本泌尿器科学会(藤澤正人理事長)が3月30日に都内で会見し、2016年度診療報酬改定により4月から保険適用となった「ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術」の有効性、安全性について説明した。
同手術は2014年9月から国の「先進医療」(将来的な保険導入の評価を行うために保険診療との併用を認めた制度)として全国14施設で臨床研究を実施。その結果、癌の根治性、腎機能温存の達成率で従来の腹腔鏡手術と比較して有意に良好な結果を得たことから保険適用となった。ロボット手術が保険適用となるのは、2012年の前立腺全摘除術に続き2例目。
会見で藤澤理事長は、「今後、これまで腹腔鏡では困難だった難易度の高いT1b腫瘍、腎門部腫瘍、完全埋没型腫瘍に対しても低侵襲で開腹手術と同等の腫瘍切除が可能になる」と適応拡大に期待。
日本泌尿器内視鏡学会の寺地敏郎理事長は「適応拡大は熟練した術者が行わないとリスクがある。外科医は前に進みたい気持ちがあるが、安全性が何より大事」と強調。手術を行う際には(1)厚労省の施設基準の遵守、(2)両学会制定のガイドライン遵守、(3)1例目は必ず腎部分切除術に対応した「泌尿器ロボット支援手術プロクター」(用語解説)を招聘─との安全対策を医療機関に依頼することを明らかにし、「両学会で、教育の機会の提供、各施設のモニタリングなど、(安全対策に)網をかけて緻密に組み立ててやっていきたい」と話した。
▼用語解説
【泌尿器ロボット支援手術プロクター認定制度】
ロボット支援腹腔鏡手術の手術手技において術者として標準的な技量を取得し、他者によるロボット支援手術を円滑かつ安全に指導できる指導者(プロクター)を認定する制度。日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会が2015年より開始した。15年は95名のプロクターが誕生。今年は80名ほどのプロクターが誕生する予定。