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療養病床、安定した制度運営の見通しを [お茶の水だより]

No.4725 (2014年11月15日発行) P.12

登録日: 2014-11-15

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▼介護療養病床の行方に再び注目が集まっている。厚労省は「療養機能強化型(仮称)」の類型を介護療養病床に新設し、医療ニーズや看取りへの対応が充実した施設に従来より手厚く報酬を配分する方針を6日の介護給付費分科会に示した。
▼介護療養病床を巡る問題の発端は、医療費適正化を進める小泉自民党が郵政解散総選挙で圧勝した2005年に遡る。厚労省は当時、「介護療養病床には必ずしも医療サービスを必要としない者もいる」として11年度末までに介護療養病床を廃止する方針を打ち出し、医療界は混乱に陥った。その後、老健などへの転換が進まない実態を踏まえ、改正介護保険法により廃止期限が17年度末まで延長された。
▼さらに田村憲久厚労相(当時)は今年2月、介護療養病床について「必要なものに関しては何らかの制度の中で残していく」と発言。医療ニーズの高い要介護者が増加する中で「介護療養病床が担っている看取りやターミナルケア、高頻度の医療処置といった機能は今後とも確保していくことが必要」との方針が8月の介護給付費分科会で示された。今回、療養機能強化型の新設が提案されたことは介護療養病床を存続させる布石とも受け取れ、評価できる。
▼もっとも改正介護保険法の附帯決議には、廃止期限の延長について「3?4年後に実態調査をした上で、その結果に基づき必要な見直しについて検討」とされており、新設される療養機能強化型を含めて介護療養病床が廃止される可能性も残っている。
▼11月6日の会合で日医の鈴木邦彦委員が「昨日まで『作れ作れ』と言われたのに次の日突然『廃止』となったトラウマがある」と指摘したように、現場は安定した制度運営の見通しを求めている。10月に公表された12年度介護報酬改定の効果検証調査の速報値によると、介護療養病床のある医療機関651施設のうち転換予定を「未定」としている施設は過半数の51.6%で、「所有するすべての介護療養病床を転換予定」との回答は10.0%にとどまった。未定の施設がその理由として最も多く挙げたのは「今後の報酬水準および政策動向をみて判断したい」(58.9%)との意見だ。以下、「地域における介護療養病床のニーズが高い」(54.2%)などと続く。
▼療養機能強化型の具体的な要件設定の議論や今後の実態調査を踏まえた議論により、再び医療界に混乱を招くことなく、現場の実態と地域のニーズに即した見直しが速やかになされなければならない。

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