【Q】
画像診断技術の向上によって,さらに早期の段階で乳癌を発見・治療することが可能となりました。その一方で,死亡率減少を目指して検診を行っているにもかかわらず,実際には生命予後に関与しない成長の遅い乳癌を発見・治療しているのではないか(過剰診断を行っている)という議論があります。【A】
癌検診は,癌を早期に発見して適切な治療を行い,救命効果に結びつけることが第一義の目的です。また,前癌のうちに病変の診断を下し,癌にならないうちに予防ができるのであれば,さらに救命が得られるだろうと推測されます。たとえば子宮頸癌検診の場合は,ほぼ全例がヒトパピローマウイルス感染に起因し,前癌病変を経て癌に至る自然史が明らかにされています。たとえ癌になっても,転移能のない上皮内癌の状態であれば,円錐切除によって治癒が十分に期待できます。