乳がんは世界中の女性において最も罹患率の高いがんである。臨床病期と病理学的検査によるバイオマーカー評価によって治療方針が決まる。乳がんはステージ0,Iといった早い段階で診断,治療された場合の5年生存率はそれぞれ約99%,95%と予後良好であり1),乳がん診療において重要なのは早期発見,早期診断と適切な治療である。本稿では乳がんの早期診断に関する検査,治療について概説する。
マンモグラフィ(mammography:MG)は乳がん検診において唯一,乳がん死亡率低下効果のエビデンスがあるモダリティである。40歳以上の女性には2年に1回の対策型検診MGが推奨されている。高濃度乳房ではMGの感度・特異度が低下することが指摘されており,デジタル乳房トモシンセシス(digital breast tomosynthesis:DBT)技術が併用されている2)。DBTは複数の画像を撮像することで薄い断層画像を再構築する技術であり,3Dマンモグラフィとも言われる。DBTにより乳腺の重なりを減少させることができ,高濃度乳房であっても高い感度・特異度が示されている3)。今後,乳がん検診技術として実臨床での導入が期待されている。