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ホルモン受容体陽性転移乳癌の薬物療法

No.5047 (2021年01月16日発行) P.48

山下啓子 (北海道大学乳腺外科教授)

登録日: 2021-01-15

最終更新日: 2021-01-12

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【内分泌療法(ホルモン療法)と併用する分子標的薬が次々と開発】

転移乳癌(遠隔転移を有する乳癌)は現時点では治癒が困難であり,治療の目的は生活の質(QOL)を改善しつつ生存期間の延長を図ることである。ホルモン受容体陽性転移乳癌は,初発から再発までの期間が長い場合(晩期再発)や内臓転移を認めない症例などでは,内分泌療法単独での一次治療で1年以上コントロールできる場合も多い。生命を脅かす転移がない場合の二次以降の治療は,一次治療とは作用機序の異なる内分泌療法薬を逐次投与する治療が行われてきた。内分泌療法耐性となった時点,あるいは生命を脅かす転移をきたしている場合は化学療法に移行する。

内分泌療法耐性機序は古くから研究されてきた。最近,耐性克服を目的とした分子標的薬が次々と日常診療に導入されている。現在,CDK4/6阻害薬のパルボシクリブとアベマシクリブ,mTOR阻害薬のエベロリムスが,内分泌療法薬であるアロマターゼ阻害薬あるいはフルベストラントとの併用療法として使用されている。パルボシクリブとアベマシクリブは,一次治療としてアロマターゼ阻害薬単独に比べて無増悪生存期間をそれぞれ10カ月以上(PALOMA-2試験1)およびMONARCH 3試験2))延長した。

【文献】

1) Finn RS, et al:N Engl J Med. 2016;375(20): 1925-36.

2) Goetz MP, et al:J Clin Oncol. 2017;35(32): 3638-46.

【解説】

山下啓子 北海道大学乳腺外科教授

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