2015年4月25日に発生したネパール地震では約8700名の命が失われたと報道された。ネパールでは80年に一度、大きな地震が起こるとされているそうだが、今回は過去最大とのことで数々の歴史的遺産も倒壊した。折しも、私は日本赤十字社の基礎保健ERU(Basic Health Care Emergency Response Unit)の初動班の一員として、ネパールへ派遣されることになった。もちろんネパールに行くのは初めてで、エベレスト登山の入り口といったイメージしか持っていなかった。
4月30日に日本を発ち、5月1日にカトマンズ空港に降り立った。空港ターミナルは各国のNGOなどでごった返していた。我々日本赤十字社のチームはすでに先遣隊がカトマンズ入りしており、ネパール保健省と国際赤十字・赤新月社連盟との話し合いにより、被害が大きかったシンデュルパルチョーク郡メラムチ村診療所を支援することが決まっていた。翌2日に初動班全員がそろい、メラムチ村に向かった。
車で走ること2時間半。メラムチ村に近づけば近づくほど、建物の倒壊・全壊、がけ崩れや落石なども多く見ることになった。患者で溢れ返る診療所に到着した我々医療チームは、早速診療を開始した。落石や建物の倒壊で頭部や四肢に重篤な外傷を負った人が多く、中にはすでに縫合されている人もいたが、皮下に膿瘍を生じていそうな患者も多かった。
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