その50歳代の患者さんも、夫人も、たらい回しに疲れ切っていた。
事の起こりは夏の初め、足のしびれと腰痛から始まった。近医ではX線とMRIを撮影されたが異常なしと言われ、対症療法を受けたが症状は改善しなかった。
その後、受診した総合病院で、「骨に異常がある。転移性骨腫瘍ではないか」と言われてCEAを測定したところ高値であったため、消化器内科で精査。上部・下部内視鏡検査を受けたが、特に異常を指摘されず、FDG-PETで肺に陰影があるように見えたとのことで当科紹介となった。
当科初診時、最初に痛みを自覚してから既に半年が経過し、良くならない病状、定まらない診断に、患者さんにも夫人にも焦燥感、いらだちがあった。持参されたCT写真を一目見て、肺内ではなく、肋骨の病変であることは明らかであった(写真左)。
既に、病巣は全身の骨に多数認められた(写真右)。
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