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島の魚は危ない? [プラタナス]

No.4785 (2016年01月09日発行) P.1

太田龍一 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター付属 南大東診療所所長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-31

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  • 沖縄の離島診療所へ赴任して3年目のある早朝、筆者の携帯電話が鳴った。時間外診療の内容は、「昨日の晩から嘔吐・下痢が治まらず、全身がだるいので診てほしい」というものであった。沖縄には16の小規模離島があり、約200〜1400人の島民が在住している。それぞれの離島に医療機関は診療所1つで、医師1人が常駐している。常駐といっても、夜間や早朝は患者さんからの要請で医師が個別に対応することになっている。ほとんどがかぜや軽症の外傷のことが多く、医師1人で十分対応可能なものばかりである。

    朝の4時、眠い目をこすりながらスクラブに着替えて診療所に向かった。「嘔吐・下痢」という症状から、いつもの「お腹のかぜ」と考えていたが、患者さんに会った瞬間、その認識は一瞬にして吹き飛んだ。患者さんは50代の女性で、時々診療所に来るが、とても健康な方であった。しかしその時は顔が青ざめ、手足は冷たく、冷や汗をかいていた。バイタルサインは血圧60/40mmHg、脈拍数40回/分と徐脈性ショックの状態。多くの鑑別診断が頭を巡った。不整脈? まさか右冠動脈の梗塞? となると、上行大動脈の乖離もあるか? などなど、私自身も冷や汗をかいていた。

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