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画像所見でintramammary fatと乳腺腫瘍をどう鑑別する?

No.4780 (2015年12月05日発行) P.64

五味直哉 (がん研有明病院画像診断部医長)

國分優美 (がん研有明病院画像診断部)

登録日: 2015-12-05

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

画像所見でのintramammary fatと乳腺腫瘍の鑑別法を教えて下さい。(和歌山県 T)

【A】

intramammary fatと乳腺腫瘍との鑑別は,超音波において問題となることがあります。乳腺組織の中央部に脂肪組織が認められる場合,乳腺のエコーレベルより低いエコー域として認められ,一見腫瘤様に見えます。しかし,多くの場合,乳腺腹側の皮下脂肪組織との連続性により判断が可能です。
乳腺内に孤立して存在する場合は,腫瘍との鑑別が問題となることがあります。乳腺腫瘤の大部分は,脂肪に比してエコーレベルは低いため,鑑別診断すべき病変として問題となるのは,皮下脂肪組織と比して内部のエコーレベルが等エコー,もしくは高エコーの病変です。
良性腫瘤としては,間質が浮腫状の時期の線維腺腫が等エコーを示すことがあります。また,乳管内乳頭腫の充実性部分は,高エコー,等エコーを呈するため,液体貯留が少ない乳管内乳頭腫は,Bモードだけでは脂肪組織との区別がつきにくい場合があります。後方エコーの増強,ドプラ法による血流の有無などが脂肪組織との鑑別に有用なことがあります。乳癌で高エコー,等エコーを呈するものとして粘液癌が挙げられます。粘液癌は境界が比較的明瞭で,多くの場合,後方エコーが増強し,縦横比が高い点などが脂肪組織と異なります。脂肪組織内に腫瘤が存在する場合には,腫瘤として認識することが難しい場合があるため,注意が必要です。

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