【Q】
生活習慣病の人の肝障害の原因,検査,対策について。また,患者指導について注意すべき点に関しても併せてお教え下さい。京都府立医科大学・角田圭雄先生に。【A】
原因としては,ウイルス性肝炎,自己免疫性肝炎,アルコール性肝障害などが除外できれば,最も可能性が高いのは非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)です。腹部エコーやCTなどの画像診断で肝脂肪化の有無を評価し,飲酒量が女性20g/日,男性30g/日以下であることを確認します(文献1)。ただし,肝細胞の20~30%未満の軽度脂肪化は画像診断では検出が困難なので注意が必要です。肥満者での頻度が高いのですが,非肥満者であっても成人後に10kg以上の体重増加がある場合,NAFLDのリスクが高いことが報告されています(文献2)。
1) 日本消化器病学会, 編:NAFLD/NASH診療ガイドライン2014. 南江堂, 2014.
2) Nishioji K, et al:J Gastroenterol. 2014 Mar 12. [Epub ahead of print]
3) Sumida Y, et al:J Gastroenterol. 2011;46(2): 257-68.
4) Sumida Y, et al:World J Gastroenterol. 2014; 20(2):475-85.
5) 岡上 武, 監:症例に学ぶNASH/NAFLDの診断と治療─臨床で役立つ症例32. 診断と治療社, 2012.
6) 中島 淳, 監:見て読んでわかるNASH/NAFLD診療─かかりつけ医と内科医のために. 診断と治療社, 2014.