ICT活用の中長期的な戦略を検討していた厚生労働省の「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」(座長=森田朗国立社会保障・人口問題研究所長、写真右から2人目)が19日、提言書を発表した。患者個人の医療・介護情報を統合したシステムを2020年度から運用する構想で、厚労省は実現に意欲を示す。
懇談会は昨年11月から8回にわたり非公開で開催。委員は医師や医療情報、ビッグデータの専門家で構成。日本医師会など医療団体の代表者は参加していない。
提言書は、国民の基本的な保健医療データを統合するシステムを「PeOPLe(仮称):Person centered Open PLatform for well-being」と名付けた。統合データは個人自らが健康管理に役立てるほか、かかりつけ医、急性期医療、救急・災害対応、リハビリテーションなどの場で保健医療専門職が共有する。
また、匿名化した統合データを産官学に提供する「データ利活用プラットフォーム」(仮称)も整備。AI等の技術を活用することで、「保健医療の質の向上」「医薬品の安全対策」「疾患の原因究明」「革新的創薬」「医療資源の最適配分」「健康関連サービス」という成果を社会に還元するとしている。
会見で厚労省の佐々木裕介政策統括官(統計・情報政策担当、写真左から2人目)は、「関係者や国民の理解を得るなど課題はさまざまあるが、同様の仕組みを整備する北欧を参考にして20年の運用を目指したい」と意欲を示した。