株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

C型慢性肝炎治療の変遷

No.4750 (2015年05月09日発行) P.47

後藤秀実 (名古屋大学消化器内科教授)

登録日: 2015-05-09

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

わが国では1992年にインターフェロン(IFN)単独療法が保険収載となった。以来20年以上にわたりC型慢性肝炎の治療はIFNベースが主流であった。IFN単独療法での持続ウイルス陰性化(SVR)率は,難治性の1型高ウイルス量の患者ではわずか2~3%と低率であったが,その後,リバビリンの併用,ペグインターフェロン(PEG-IFN)の登場に伴い,SVR率は上昇した。さらに,最近のPEG-IFN,リバビリンおよびdirect acting antivirals(DAA)の併用療法によってSVR率は70~90%と格段の進歩を遂げてきている。
IFNベースの治療で避けられないのが多様な副作用である。発熱,関節痛,悪心などのインフルエンザ様症状,また頻度が高くないとはいえ間質性肺炎,うつ病,眼底出血が,リバビリン併用療法では溶血性貧血が,第1世代のDAAであるテラプレビル併用療法でも,頻度は高くないとはいえ重篤な皮膚症状,腎障害が問題となっていた。
2014年9月に,わが国初のIFNフリー経口薬併用療法であるダクラタスビル+アスナプレビル併用療法が認可された。この治療は上記副作用がきわめて少なく,合併症のためIFNが使えなかった患者,および以前にIFN治療を副作用で早期に中止せざるをえなかった患者,また以前の治療中,ウイルス消失がまったく得られなかった前治療無効例,および代償性肝硬変患者にも適応となり,今まで治療の恩恵を被れなかった患者に対しても80%以上のSVR率が期待できる治療法である。
「患者が楽に,効果の高い治療ができる」という観点で,様々なIFNフリーのDAA併用経口療法が1型のみならず2型のウイルス感染患者に対しても開発されており,今後,臨床の場で使用される予定である。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top