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OCTによる冠動脈内画像診断

No.4757 (2015年06月27日発行) P.51

渡邉真言 (奈良県立医科大学第1内科)

斎藤能彦 (奈良県立医科大学第1内科教授)

登録日: 2015-06-27

最終更新日: 2016-10-26

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光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)は,近赤外線を利用した新しい画像診断装置である。画像診断カテーテルを冠動脈内に直接挿入して血管壁の微細な構造を観察していくもので,その最大の特徴は優れた画像解像度(10~20μm)である。従来,冠動脈の血管内画像診断法として用いられてきた血管内超音波(IVUS)の約10倍の解像度を有するため,血管径や狭窄度のみならず,プラークの性状をより詳細に観察することができるようになった。
OCTの画像診断で最も注目を集めているのが不安定プラークの同定である。不安定プラークの病理学的特徴は,脂質成分に富んだプラークを覆っている線維性皮膜が炎症などの結果,菲薄化したもの(thin cap fibroatheroma:TCFA)と考えられている。OCTは線維性皮膜の厚さやプラークの大きさを定量的に評価可能であり,TCFAの存在を生体内で診断できる唯一の画像診断法である。
さらに,OCTはPCI中の画像診断装置としても急速に普及している。OCTによって得られた画像から,適切なサイズのステントを選択することができる。また,ステント留置後の血管壁への圧着不全,組織逸脱や微細な解離を明瞭に描出することができ,PCIの最適化に有用な情報を提供する。さらに,OCTはステント留置後の新生内膜の被覆状態を明瞭に評価することができ,遅発性ステント血栓症の原因と考えられている新生内膜の被覆不全や,遅発性の圧着不全を観察できる。
近年,OCTのテクノロジーは目覚ましい進歩を遂げており,冠動脈疾患の病態解明と治療に大きく貢献することが期待される。

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