株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

乳癌と細胞周期チェックポイント 阻害薬  【CDK4/6はホルモン受容体陽性患者にとって重要な治療標的候補と考えられる】

No.4787 (2016年01月23日発行) P.52

鈴木栄治 (京都大学乳腺外科)

戸井雅和 (京都大学乳腺外科教授)

登録日: 2016-01-23

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ホルモン受容体陽性の転移性乳癌と診断された患者は,non life-threateningな病態であれば,通常は内分泌療法が適応される。良好な予後を示す患者が存在する一方で,一次内分泌療法抵抗性または獲得耐性は,臨床上の大きな問題点である。これらの問題の原因のひとつとして,エストロゲン依存性のがん細胞増殖からほかの増殖シグナル依存への転換が考えられ,その標的のひとつとしてサイクリンDが挙げられている。
乳癌の50%以上でサイクリンDの過剰発現が認められ,その大部分はエストロゲン受容体陽性であることが示されている。サイクリンDはサイクリン依存性キナーゼ4および6(CDK4/6)と直接相互作用し,活性化された蛋白質複合体となり,細胞周期G1からS期へのエントリーを促進する。したがって,CDK4/6は特にホルモン受容体陽性患者にとって重要な治療標的候補と考えられ,数種類のCDK4/6阻害薬の臨床開発・応用が進んでいる。
palbociclibは,ホルモン受容体陽性転移再発乳癌患者を対象に,一次内分泌療法としてレトロゾールとの併用療法が,米国食品医薬品局(FDA)により承認された。
abemaciclibは,ホルモン受容体陽性転移再発乳癌を対象に,一次,二次内分泌療法としてのアロマターゼ阻害薬,フルベストラントとの併用療法における第3相臨床試験が施行されている。
LEE01は,規定された固形癌(乳癌であればトリプルネガティブ乳癌は選択基準を満たす)を対象とした臨床試験が行われている。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top