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胆管内乳頭状腫瘍の鑑別診断  【膵IPMNと比較して悪性度が高いとされ,外科的治療が原則】

No.4795 (2016年03月19日発行) P.53

井上宏之 (三重大学消化器・肝臓内科病院講師)

竹井謙之 (三重大学消化器内科教授)

登録日: 2016-03-19

最終更新日: 2016-10-26

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胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は肝内外の胆管内に発生する乳頭状腫瘍で,狭い線維性血管芯を中心とした病変である。2010年,WHOの消化器腫瘍分類の改訂の際に,胆管癌の前癌・早期癌病変として粘液嚢胞性腫瘍(MCN),胆道上皮内腫瘍とともに定義・記載された。
IPNBは粘液産生の多寡によらず,胆管内腔に乳頭状増殖を示す胆管上皮性腫瘍と定義され,膵におけるintraductal papillary mucinous neoplasm(IPMN)のカウンターパートとして位置づけられている(文献1)。IPNBは膵IPMNと比較して粘液産生を伴わない症例,胆管との交通を有さない症例が多いとされており,MCNや乳頭型の胆管癌などとの鑑別が難しい症例もある。粘液産生を伴う場合には肝MCNとの鑑別が最も問題となるが,IPNBでは被膜を認めず,cyst-by-cystの嚢胞形態,胆管との交通性,性別(MCNでは女性が多くを占める),卵巣様間質の有無が着眼点となる。また,IPNBでは太い胆管に発生することが多く,粘液産生で胆管炎,黄疸をきたすことがある。粘液形質を用いた亜型分類では,膵IPMNに比して悪性度が高く浸潤癌の頻度が高いpancreatobiliary typeが多いことから(文献2),外科的治療が原則である。
IPNBは上述のように比較的新しいentityであり,膵IPMNとの相同性もあるものの,疾患概念を含めていまだコンセンサスが形成されていない部分も多く,今後の症例の蓄積,検討が必要である。

【文献】


1) Zen Y, et al:Hepatology. 2006;44(5):1333-43.
2) Kim KM, et al:Am J Gastroenterol. 2012;107(1):118-25.

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