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デュピュイトラン拘縮に対するコラゲナーゼ注射療法  【手術療法に比べ簡単で,神経血管損傷の発生抑制などの点においても有効】

No.4813 (2016年07月23日発行) P.51

柿木良介 (近畿大学整形外科教授)

登録日: 2016-07-23

最終更新日: 2016-10-29

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2015年10月よりデュピュイトラン拘縮に対するコラゲナーゼ注射療法(文献1)が認可された。デュピュイトラン拘縮の治療には拘縮索の切除が一般的であったが,術中の神経血管損傷は稀な合併症ではなかった。このコラゲナーゼ注射(ザイヤフレックスR)は,拘縮索の主な構成要素であるタイプ1とタイプ3コラーゲンを分解し,タイプ4コラーゲンが主要構成要素である神経,静脈,動脈などへの作用は少ないと報告されている。ただ,屈筋腱に入ると腱断裂を起こすので,注意が必要である。
この注射では原則,「1関節拘縮に1本の注射」となっている。1本の指のMP,PIPの両関節に拘縮がある場合には,MP関節を優先する。1回に0.58
mgのザイヤフレックスRを拘縮索に注射する。注入時には,注射針が屈筋腱内に入っていないかを指を屈曲させて確認する。その日は1時間ほど外来で経過を観察してから帰宅させ,24時間後に伸展処置をする。神経ブロックもしくは局所麻酔下に,手関節および伸展処置をしない指関節を屈曲位に保ち,拘縮関節をゆっくり伸展させる。時に「ポキン」という音を立てて指が伸びる。稀に皮膚裂傷を伴うこともあるが,通常,1週間ほどの保存療法で治癒する。
万一,伸展処置がうまくいかなかった場合は,1カ月の間隔をあけて3回まで注射が可能である。

【文献】


1) Hurst LC, et al:N Engl J Med. 2009;361(10):968-79.

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