4~5歳向けの絵本。子どものみならず、大人や、愛する人を亡くした人からも、愛するとはどういうことか気づかされたと好評の一冊(マージョリー・ニューマン著、パトリック・ベンソン絵、久山太市訳、評論社、 2003年刊)
このコーナーの執筆依頼を前にして、腕を組んで考え込んだ。過去の掲載原稿を拝読すると、いずれも執筆者の高尚な読書、音楽鑑賞の習慣がにじみ出ているのである。一方、私が読む本といえば、書店に平積みされる流行りの一般文芸書、聞く音楽も一昔前にヒットチャートを賑わせた洋楽、邦楽ばかり。これは無理だ。「否」に○をつけて返送しようとした瞬間に、頭に浮かんだのがこの本である。いや、絵本である。
かつて、就学前の長男の就寝前に絵本を3冊読み聞かせる義務を自分に課していた。読むのであれば、子どもの精神的な成長によさそうな絵本を選びたいし、自分としてもおもしろい絵本を読みたい。そうして足繁く本屋に通ううちに、いつしかずいぶんと絵本に詳しくなっていった。ここで紹介する「私の一冊」は、マージョリー・ニューマン氏による“Mole and the Baby Bird”を久山太市氏が翻訳した『あいしているから』である。
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