安倍晋三首相は10日に官邸で開かれた未来投資会議で、ビッグデータや人工知能(AI)を活用した新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させる方針を明らかにした。
会議のテーマは、医療・介護の未来投資と課題。この中で安倍首相は、団塊世代が75歳を迎える2025年が迫っており、健康寿命の延伸が喫緊の課題であるとの認識を示し、「2025年問題に間に合うように、『予防・健康管理』と『自立支援』に軸足を置いた新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させる」との方針を表明。さらに、データ分析によって個人の状態に応じた予防や治療が可能となり、質の高い医療を実現することで、「高齢者が生き生きと暮らし、社会保障費が減っていく」とのメリットを強調した。
その上で、「これらを一気に実現するパラダイムシフトを起こしていかなければならない」と述べ、インセンティブにも言及。「医療や介護の報酬、人員配置基準といった制度の改革に踏み込んでいく」と意欲を示し、関係大臣に対し「直ちに施策を具体化してもらいたい」と指示した。
塩崎恭久厚労相は翌11日の閣議後会見で、「(会議で)私が申し上げたのは、医療も介護も科学しようということ」と説明。ビッグデータやAIを最大限に活用して科学に基づく医療・介護を進めるために、診療報酬・介護報酬によるインセンティブで後押ししていく考えを示した。