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外務省で医師として働くというキャリア ─ どのような役割があり、どのような経験を積むことができるのか(上)【OPINION】

No.4831 (2016年11月26日発行) P.18

仲本光一 (外務省診療所長)

寺井和生 (外務省上席専門官)

登録日: 2016-11-22

最終更新日: 2016-11-25

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    本稿では、“外務省所属の医師”について、どのような組織、集団であるのか、どのような役割があり、どのような経験を積むことができるのか、詳しく説明していきたいと思う。医務官について知ることで、海外医療情報収集において医務官を有効活用していただいたり、あるいは、医務官を希望される医師が現れることを期待している。
    なお、本内容は所属する組織から資料提供を受けているが、基本的には個人の見解であることを初めにお断りしておきたい。

    はじめに

    「在外公館医務官」(以下、医務官)の知名度は一般の方々の間で極めて低く、大使館訪問者は、開発途上国にある多くの大使館に医師が1名ずつ在籍することに驚かれることが多い。そして、現地大使館で詳細な現地医療事情(風土病、流行疾患や医療機関など)が得られることを知り驚嘆される。現地医療情報の提供は、医務官の重要な任務の1つである。

    実は、日本人医師の間でさえ「医務官」は知られていない。興味がないのではなく、その存在が知られていないのだと思う。私自身、仕事について尋ねられ「医務官」と言うと、日本で勤務している多くの医師の反応は大変良好、と言うより過剰であることからも頷ける。多忙そうな外来医師でさえ、「医務官」と聞くと質問攻勢を仕掛けてくることが多い。

    医務官は主として開発途上国に勤務し、医師として、在外公館館員及びその家族の健康管理、在留邦人の健康相談を行うとともに、外交官として現地医療情報をじかに収集し、国民に提供している。特に後者の「じかに現地医療情報を収集する」という面では、日本で唯一無二の医療専門家集団と言える。

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