わが国や米国でがんによる死因の第4位を占める膵癌は,いったん罹患すると治らないことですっかり有名になり,最近は亡くなる運命のドラマの主人公は膵癌になることが多い。すべてのがんの治癒への鍵は早期発見であるが,膵癌ではこれが通常は困難である。膵癌の高い悪性度,有効なバイオマーカーの不在,画像診断の感度の低さと届きにくさなどがその原因であるが,そうした現実の中でも臨床家は不断の努力をしてきた。世界中で膵癌早期発見に向けた有効なスクリーニング法の開発が模索され,いくつかは陽の目を見つつある。ここではわが国におけるその最前線を紹介したい。
1 膵癌早期発見の検診システム
大阪がん循環器病予防センター所長 田中幸子
2 膵癌の検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発
─探索と多施設検証,そして実用化へ向けた研究開発を振り返って
国立がん研究センター研究所 創薬臨床研究分野 分野長 山田哲司
3 病診連携を基軸とした膵癌早期診断
JA尾道総合病院消化器内科診療部長 花田敬士
尾道市医師会会長 宮野良隆