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乳癌検診の最新のエビデンスは? 【マンモグラフィと超音波検査】

No.4833 (2016年12月10日発行) P.59

鈴木昭彦 (東北大学大学院医学系研究科乳腺・内分泌外科准教授)

登録日: 2016-12-06

最終更新日: 2016-12-01

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  • 「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき,市町村では,乳癌検診としてマンモグラフィを実施しています。一方,超音波検査を導入している施設もあります。乳癌早期発見という観点から,乳癌検診はどのような方法で行うのがよいのでしょうか。マンモグラフィか,超音波か,併用がよいのか,最新のエビデンスをご教示下さい。

    (質問者:岐阜県 K)


    【回答】

    まず確認したいのは,市町村における乳癌検診は「高齢者の医療の確保に関する法律」(旧・老人保健法)からは切り離された,一般財源の中での事業と位置づけられており,検診の根拠となる法令は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」です。2008年3月31日に厚生労働省健康局長通知(健発第0331058号)として示され,2016年2月4日に別添として一部改正が通知されました1)。この通知では,乳癌検診は40歳以上の女性に対してマンモグラフィ検診を行うことと,視触診単独による乳癌検診は推奨しないことが明記されており,これが,現時点でのわが国の市町村検診の標準です。

    マンモグラフィは,欧米で行われた複数のランダム化比較試験において,死亡率減少効果が科学的に証明された唯一の乳癌検診方法です2)。わが国で行われた検証試験でも,欧米の論文と同様のがん発見率が期待できることが明らかとなったことから,2000年以降,乳癌検診法として採用されました。公的資金を投入して行われる市町村検診では,検診による利益(死亡率減少効果)が不利益(被ばく,疼痛,偽陽性,偽陰性,過剰診断など)を上回ることが科学的に証明されていることが導入の第一条件となるため,国策として推奨される検診方法はマンモグラフィ検診だけとなります。

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