社会保障審議会医療保険部会は8日、医療保険制度改革の「議論の整理案」を大筋で了承した。高額療養費制度の見直しなどを巡って最後まで意見が大きく分かれ、細かな書きぶりは遠藤久夫部会長に一任された。見直し後の金額や施行時期は、年末の予算編成過程で与党と調整する中で決まる。
厚労省は前回(11月30日)の会合で、70歳以上の高額療養費の負担限度額の見直し案として、年収370万円以上の「現役並み区分」を細分化して所得に応じた負担限度額を設定し、外来上限特例を廃止する方向性を提示。その上で、年収370万円未満の一般区分の特例も廃止し、住民税非課税の低所得区分の負担限度額も引き上げる「案1」と、一般区分の特例を維持し、低所得区分の負担限度額は据え置きとする「案2」の2つを示していた。しかし、その後、与党内で一般・低所得者区分の引上げに慎重論が相次いでいた。
厚労省は議論の整理案で、一般区分については、負担限度額を引き上げるとともに多数回該当を設定することを「実施すべきとの意見が多かった」と整理。低所得者については、負担限度額を据え置くことに「大きな反対意見はなかった」とした。いずれも具体的な金額は明示しなかった。
外来上限特例についても、①現役並み区分では廃止、②一般区分では特例を維持した上で負担限度額を引上げ、③低所得者区分では特例を継続し、負担限度額は据え置き―との意見が「多かった」とまとめるにとどめ、金額には言及しなかった。
このほか、予算編成過程で具体的な方向性が決まっていくのは、65歳以上の医療療養病床入院時の居住費(光熱水費相当額)負担の導入、後期高齢者医療制度における保険料軽減特例の段階的廃止など。