2017年度予算における社会保障関係費の伸び、いわゆる“自然増”は16年度比約5000億円増となることが決まった。塩崎恭久厚生労働相が19日の麻生太郎財務相との閣僚折衝後の会見で明らかにした。
厚労省は17年度の自然増について、8月の概算要求で6400億円としていたが、政府の「経済・財政再生計画」の改革工程表に基づく医療・介護制度改革の着実な実行に加え、協会けんぽの超過準備金分の国庫補助特例減額などにより、1400億円が圧縮されることとなった。政府は同計画で16~18年度の3年間を「財政健全化計画の集中改革期間」に位置づけ、社会保障費の伸びを計1.5兆円程度に抑制させることを「目安」に掲げている。17年度は中間年に当たり、財務省の財政制度等審議会は、社会保障費の伸びを年平均の「5000億円」に抑える必要があるとしており、目標を達成した形だ。
医療分野では、①「オプジーボ」の薬価引下げ(約200億円)、②高額療養費の見直し(約220億円)、③後期高齢者の保険料軽減特例の見直し(約190億円)、④入院時の光熱水費の見直し(約20億円)、⑤協会けんぽへの国庫補助の特例減額(約320億円)─で合計約950億円が財政削減効果として計上された。介護分野では高額介護サービス費の見直し(約10億円)と介護納付金の総報酬割の導入(約440億円)で約450億円、医療と合わせ1400億円が捻出された。
折衝後の会見で塩崎厚労相(写真)は、閣僚折衝で17年度予算の方向性として「持続可能な社会保障制度を構築する観点から、経済・財政再生計画の改革工程表や関係審議会の検討結果を踏まえ、医療介護制度改革を着実に進めていくことを確認した」とした上で、社会保障・税一体改革の一環として行う「社会保障の充実」について、前年度比3095億円増となる1兆8390億円を確保したことを強調した。社会保障の充実の柱は、子ども・子育て支援新制度の実施や社会的養護の充実、国民健康保険への財政支援となっている。17年度予算は22日に閣議決定される予定。