日本人は英語が不得意とされています。テレビのニュースで、国際会議においてヨーロッパやアジアの代表は英語で意見を述べますが、日本の代表は同時通訳を使っています。これからの国際化に向け小学生から英語教育に力を入れる日本ですが、英語圏以外の方と同じレベルに達するには、多少工夫が必要かと思います。
私自身はドイツ人と国際結婚し、日本語、英語、ドイツ語の3カ国語で生活していますが、英語とドイツ語は外国語としてゼロからのスタートでした。語学を習得していく中で、日本人がなぜ英語が苦手なのか、自分の経験から気づいたことを述べさせて頂きます。
中学時代に英会話教室でウィッキーさんのレッスンを受けたのはラッキーなことでした。テレビで、ウィッキーさんが街角を歩いている人に突然英語で尋ねる番組がありましたが、この企画は日本人の英語に対する問題提起でもありました。彼の英会話レッスンは教科書を使わず、昨日朝起きてから寝るまで何をしたか英語で話すといった、自分で文章を考えて口に出すトレーニングで、この時期に自分の英語が急速に上達しました。
一方ドイツ語は、高校、大学で勉強しましたが、日本で研修医を終えドイツに留学した際、相手の言っていることはわからないし、自分の意見を言えず、現地の会話教室に通いました。そこで、アフリカやアジアから来ている留学生や社会人の語学を学ぶ態度に刺激を受け、学ぶスタイルを変えました。彼らは教室に入ると一番前の席から座り、先生に聞かれなくても、自分から文法がめちゃくちゃなドイツ語で積極的に質問し、休憩時間は国や年齢が異なる仲間と、昨日何を食べたとか住む家を探して苦労しているなど、言葉がわからないと母国語を入れて楽しく会話をしていました。
日本では、教室の後方に座り、先生から質問されたら答える、休憩時間は1人で本を読んでいる、といった光景が浮かびます。このような、よく言えば日本人の謙虚な態度は、英語を学ぶにはマイナスに働きがちです。単語や文法を丸暗記するのではなく、自分で文章を考え、間違っていてもいいから恥ずかしがらずに声に出す、この壁を越えられたら日本人の英語は飛躍的に前進すると思います。医学系学会においても、優秀な若手医師が国際学会で活躍できるような英語教育が必要だと感じる今日この頃です。