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87歳の夏、白山に登って診療所で診療活動をする [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.78

山口成良 (松原病院名誉院長、金沢大学名誉教授)

登録日: 2017-01-03

最終更新日: 2016-12-27

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白山室堂内にある金沢大学白山診療所は、「石川県の要請により、白山国立公園内における夏期登山者及び室堂従業員の緊急疾病の治療にあたることを目的とする」となっている。

私は1975年以来ほとんど毎夏白山に登り、診療活動に従事してきた。一昨年(2015年)は身内の不幸もあって登山しなかったが、昨年は87歳という高齢にもかかわらず登山することにした。

7月31日(日)朝6時に、白山診療班OBの先生が自宅まで車で迎えにきてくれて、中飯場に着き、そこで下車して、登山を開始した。途中、同じ病院に勤める守衛の方が、私の体力のなさを見かねて、私のリュックサックを背負ってくれた。室堂(2450m)内の診療所に着くまでに約7時間を要し、例年よりも2時間遅れであった。

白山診療所では、登山者4人、室堂従業員4人、計8人の受診者があり、私は簡単な指示をするだけで、後期研修医と医学部学生が主に診療業務に携わった。約600人の登山者の夕食が終わってから、白山診療班員が食堂で夕食をとった。午後8時の消灯後、診療所の中で四方山話となった。医学部学生や、研修医の方からいろいろの質問があり、それに答えるのも楽しみであった。途中、外に出てみると、満天の星空で、北斗七星が非常にはっきりと見えた。診療所内の寝室で、研修医とともに寝についた。

翌8月1日は快晴で、ご来光を知らせる白山比咩神社奥宮社務所の太鼓が鳴ったが、自分は下山のための体力を保つため、山頂へ登るのはやめた。後期研修医と学生が登り、すばらしいご来光だったと感想を述べていた。9時過ぎに皆とともに下山した。途中で雨が降りはじめ、合羽を着た。白峰で名物のとち餅を買い、昼食をとった。

今年(2017年)は白山開山1300年にあたり、どうしても登山したいが、昨年のような不甲斐ない登山では恥ずかしいので、これから体力を培っていきたいと思っている。

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