JS Bach作曲。「第39回 藤の会ピアノ演奏会:音への愛、その軌跡vol.1」(サントリーホール、2016年10月15日)において筆者が演奏した曲(写真はCD:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル、2007年発売のもの)
6曲の曲集の最後を飾るフランス組曲第6番は、技巧的にも練り上げられた名作品だ。あの時代、毎日のように宮廷などで消費されていた新作たちは、6曲単位などで作品集にまとめられて世に出たようだ。鍵盤音楽の秘術を尽くして大バッハと称された西洋音楽の元締めヨハン・セバスチャン・バッハにおいても、事情は大して変わらない。組曲の中身を見れば、一曲数ページ、当時の舞曲=ダンス音楽を中心とした音楽の花束集になっている。
第一曲ドイツ舞曲アルマンドは、ドイツとフランス風の混じり合いを楽しんでいる風情。指慣らし後に第二曲クーラントでは思いっ切りの急速調を楽しみ、ゆったりとしたスペイン風サラバンドに移る。1年余前に世を去ったわが師近藤洋子先生と、東日本大震災やその後の災害死の方々の鎮魂にも心を込める。
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