ジョルジュ・ビゼー作曲のフランス語による全4幕のオペラ。フランスの作家プロスペル・メリメの小説『カルメン』を基にしてつくられた(写真はDVD:日本コロムビア、2011年発売のウィーン国立歌劇場1978年のもの)
私らが小学生の頃の教科書は全国共通の国定で、音楽の授業時間には美しい日本語で綴られた名歌を習い、生まれた土地が違っても誰とでも一緒に歌うことができ、合唱すれば喜びや悲しみを共有できた。
肝臓病専門医として診療・研究一筋の勤務をしてきた私が独立を思いたったのは、昭和も終わる58歳のときだった。独立への希望と不安が交錯する中、大学合唱部時代の先輩から喜歌劇楽友協会への参加の誘いを受けた。それまで音楽演奏会へは出かけたが、オペラは縁遠かった。その協会では歌詞を日本語化し演出するが、プロである主役クラスの演技を周囲で支える人達が求められていた。それを契機として練習時間を工面し、いくつかの市民オペラにも参加したが、原語歌詞による発表が多く、どんなにいい旋律のアリアでも内容がわかりにくければ感動はまるで違った。
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