脂肪肝はその原因から,過剰飲酒によるアルコール性脂肪肝とそれ以外の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とに分類される。NAFLDの進行する病態が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)である。
主な病因は,肥満や糖尿病などの生活習慣病で,NAFLDはこれらの疾患のリスクとなり悪循環を呈する。NAFLDは,わが国の成人健康診断受診者の20~40%が罹患する国民病で,その対策は急務である。治療は,食事・運動による体重減少が基本で,5~10%の体重減少で多くの症例が治癒する。しかし,進行すると肝硬変や肝癌を発症することから,早期診断と治療が重要である。
本特集では,この分野のエキスパートにご執筆頂いた。食育などの予防を含め,国を挙げた疾患概念の普及と包括的な対策が必要である。
1 NAFLD/NASHの病因
大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学/機能診断科学准教授 鎌田佳宏
大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学教授 三善英知
大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学教授 竹原徹郎
2 NAFLD/NASHの病態・診断
東京女子医科大学消化器内科講師 谷合麻紀子
東京女子医科大学消化器内科教授 橋本悦子
3 NAFLD/NASHの治療
三重大学大学院医学系研究科消化器内科学教授 竹井謙之
三重大学大学院医学系研究科消化器内科学講師 山本憲彦