NAFLD/NASHの病因は様々である
PNPLA3の一塩基多型(SNP)がNAFLD/NASHの発症しやすさに関連している
アディポサイトカイン分泌異常やヘパトカイン産生増加は,NAFLD/NASHの病因に関与している
血中AST・ALT値の上昇が肥満を増悪させる可能性がある
脂肪性肝疾患の病因は様々であり,肥満,過剰飲酒,内分泌疾患,極度の低栄養,薬物などが挙げられる(表1)1)。そのうち,一般臨床で遭遇する主な脂肪性肝疾患はアルコール性と非アルコール性に大別される。
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)は肝障害を惹起する程度の飲酒歴がなく,ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎など,原因の明らかなものを除外した肝への脂肪沈着を認める肝疾患の総称である2)3)。
非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)はNAFLDの重症型で,アルコール性肝炎に類似した炎症,風船様肝細胞腫大,肝線維化を認め,肝硬変から肝細胞癌へ進展しうる。
健診受診者におけるNAFLDの有病率は,男性が約40%,女性が約20%である3)。NASHの発症頻度は成人の2~3%と推定されており,男女差はない。ただし,女性では,閉経前はNASHの頻度は少ないが,閉経後に増加し,その進行が速いことが指摘されている3)4)。
本稿では,様々あるNAFLD/NASHの病因のうち,遺伝的素因,脂肪組織から分泌されるアディポサイトカイン分泌異常,肝臓から分泌されるヘパトカイン,肝障害の血液マーカーとして知られるAST,ALTについて,筆者らの知見を中心に概説する。
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