乳癌関連死の低減を目的としてマンモグラフィーを用いた乳癌検診が広く行われている
乳癌のリスク因子として確実視されているものの中には日常生活において改善できるものもある
遺伝性乳癌に対する早期発見の取り組みが行われている
癌検診は癌の自覚症状がない人を対象として,癌を早期発見し適切な治療を導入するために行われ,多数の住民を対象とした対策型検診と,人間ドックのように個人の判断により受診を決定する任意型検診に大別される。
わが国において対策型検診は,健康増進法に基づく健康増進事業として各市区町村により行われ,対象集団全体の死亡率の低下をその目的としている。このため,対策型検診が対象とする癌は,①多くの人が罹患し,死亡の原因となっている,②多数の人に行える検査方法により,高い精度で「癌のありそうな集団」を判別できる,③自覚症状の出現より早く発見し治療を行うことで死亡率が改善する,などの条件が必要である。
現在,上記の条件を満たし,対策型検診として推奨されているものには胃癌,大腸癌,肺癌,子宮頸癌,乳癌などがある。
わが国における対策型乳癌検診では,①マンモグラフィー単独法,②マンモグラフィーと視触診の併用法,が推奨されている。対策型乳癌検診における超音波検査の有用性に関しては現在臨床研究中であり,死亡率減少効果に関しては不明である。
マンモグラフィーの撮影・読影に関しては日本乳がん検診精度管理中央機構を中心に質の確認・管理が行われているが,触診の質に関しては確認・管理が難しく,今後の課題となっている。
また,乳癌検診に関する多くの研究は欧米各国で行われたものであり,平均寿命,乳癌発症率,平均乳腺濃度,医療制度など背景因子の異なる集団で得られた結果であることを念頭に置く必要があり,わが国の女性における今後の検証が待たれる。
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