塩崎恭久厚生労働相直轄の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長=渋谷健司東大院教授)が6日、医師偏在対策を「喫緊の課題」と位置づけ、「医師数を増やす必要がない環境の整備が重要」との認識を盛り込んだ報告書を取りまとめた。
報告書では、医療提供体制改革や医師の勤務環境改善に関して、実施すべき具体的方策(表1)を提言。施策の実現を通じて、「敢えて医師数を増やす必要がない環境を作り上げていくことが重要」と指摘している。医師の偏在対策を「喫緊の課題」に位置づけ、「『強制的に医療従事者を誘導・配置すれば足りる』『へき地等に“当てがう”』との発想に依存すべきではない」と、規制的手法による対策を明確に否定した。
提言内容は、同日に公表された医師の「働き方調査」(用語解説)の結果を踏まえたものだ。医師の勤務実態に関する大規模調査としては初めてのもので、全国の勤務医1万5677人から回答が寄せられた。
注目されるのは、地方で勤務する意思について、「ある」と回答した医師が全体の44%に上った点だ(図1)。50代以下に限ると、約半数が地方勤務の意思が「ある」と回答し、地方勤務の希望年数を「10年以上」としたのは27%に上った(図2)。20代では60%が「ある」と回答している(表2)。
一方、地方勤務の意思が「ない」と回答した理由としては、20代では専門医の取得、労働環境、仕事内容への不安が多く、30~40代では子供の教育環境への不安や家族の理解を得られないことなどが多かった。
このことから検討会の報告書では、キャリア形成や生活への支障を来す要素が除かれれば、多くの医師が地方で勤務する可能性があると強調している。
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