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肝門部胆管狭窄の鑑別診断の実際【良悪性の鑑別を第一義に診断にあたる。生検を経て,確診に至る】

No.4853 (2017年04月29日発行) P.56

原 和生 (愛知県がんセンター消化器内科部長)

川嶋啓揮 (名古屋大学医学部附属病院消化器内科講師)

登録日: 2017-04-26

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  • 肝門部胆管狭窄の診断は時に困難であり,その鑑別診断は多岐にわたります。
    肝門部胆管癌,他臓器癌の播種,IgG4関連疾患,原発性硬化性胆管炎,その他の良性疾患など鑑別すべき疾患が多く,診断結果によって治療法やその侵襲が大きく異なります。しかし,診断までのストラテジーは施設によって異なるのが現状であり,明確なスタンダードが存在していないのが現状です。肝門部胆管狭窄の鑑別診断の実際,コツ,注意点などについて,名古屋大学・川嶋啓揮先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    原 和生 愛知県がんセンター消化器内科部長


    【回答】

    当院では年間約70例の肝門部胆管狭窄症例の診断とドレナージを行っていますが,症例数が増加するにつれて,ますます診断の困難さを実感しています。

    診断の実際は,腹部ダイナミックCTにておおよその診断をつけ,内視鏡的逆行性胆管造影(endoscopic retrograde cholangiography:ERC)と管腔内超音波検査(intraductal ultrasonography:IDUS)で所見を確認し,経乳頭的胆管生検にて病理学的なエビデンスを得るという流れになります。

    診断の第一義は良悪性の鑑別です。CTで造影効果を伴う胆管壁の肥厚所見を認め,ERCにて不整な胆管狭窄像,IDUSにて内側に凹凸不整壁肥厚所見が認められた場合,画像診断上は強く胆管癌を疑います。その後,良悪性鑑別,進展範囲診断目的の生検を施行します。ここで注意すべき点は,経乳頭的胆管生検で得られる組織は微小であり,かつ黄疸や炎症の影響を受けており病理診断が非常に困難であることです。偽陰性はもちろんのこと,慣れない病理医の診断では偽陽性もありうるということに留意する必要があります。

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