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ライム病との遭遇[プラタナス]

No.4856 (2017年05月20日発行) P.3

橋本喜夫 (JA旭川厚生病院診療部長/臨床研修センター長/ 皮膚科主任部長)

登録日: 2017-05-19

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  • 医師になって6年目の初夏。皮膚科専門医を取得して、今後の医師としての岐路にたっていた。翌年には大学に戻ることになっていたので、大学に残るか、早期に辞めて勤務医や開業するかという選択肢だった。

    確かJournal of American Academy of Dermatologyに、ライム病の総説論文があり、何気なく読んだ。その時は対岸の火事(欧米の病気)だと思った。ところが、2週間後に国立感染研から当病院に手紙があり、ライム病を疑う患者が来たら、早期診断するキットを開発中なので患者血清を送付してほしいという依頼だった。「へえ、日本でも関心があるんだ」と漠然と思った。

    1987年の8月、当院皮膚科外来に中年の女性が受診した。1カ月以上前に背部をマダニに刺され、家人に抜き取ってもらった。その後、同部位を中心に紅斑が拡大し、次第に関節痛、発熱、全身倦怠感も出現。近医病院皮膚科を受診したが、「虫刺症」として外用剤のみ処方された。紅斑は消退するどころか拡大し、かぜ様症状も悪化したために当科を受診。背部から前胸部にかけて長径で50cm以上に及ぶ環状紅斑がみられた(写真)。

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