厚生労働省は15日に開かれた「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」に、早期に実行可能な医師偏在対策として、地域医療支援センター(用語解説)の医師派遣機能を強化する方向性を示し、概ね了承された。
地域医療支援センターの派遣対象となる地域枠卒業医師は、2024年度には計約9700人が臨床研修を修了すると見込まれている。一方で、一部の都道府県では、派遣医師の就業モデルを示した「キャリア形成プログラム」を策定しておらず、地域枠の修学資金貸与の要件として出身都道府県や勤務地・診療科の限定を設けていないといった実態がある。
これを踏まえ厚労省は、全都道府県にキャリア形成プログラムの策定を義務化し、地域枠入学者について①地元出身者に限定するとともに大学所在都道府県での臨床研修を原則とする、②勤務地・診療科を限定する、③義務年限を自治医大と同程度(9年間)とする─などをプログラムに記載すべきとした。
構成員からは「抜本的な偏在対策にはならない」との声も複数上がったが、方向性への異論は出なかった。同省は近く都道府県に対し通知を発出し、2018年度から始まる第7次医療計画における医師確保策への反映を促す。