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膵癌の胆道ドレナージ【カバー型金属ステントにより長期開存が可能に】

No.4861 (2017年06月24日発行) P.48

菅野 敦 (東北大学消化器内科講師)

北野雅之 (和歌山県立医科大学医学部内科学第二講座教授)

登録日: 2017-06-21

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  • 膵癌は,しばしば胆管に浸潤し閉塞性黄疸をきたします。わが国では,手術適応の可否にかかわらず,診断も兼ねて内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)を施行後,胆道ドレナージが行われることが多いと思います。しかし,膵癌の術前胆道ドレナージに否定的な論文も認められます。また,膵癌の非切除症例の胆道ドレナージに用いるステントの種類に関するコンセンサスもありません。最新の知見も含めた膵癌の胆道ドレナージに関して,和歌山県立医科大学・北野雅之先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    菅野 敦 東北大学消化器内科講師


    【回答】

    (1)切除不能な膵癌の胆道ドレナージ

    膵頭部癌の患者において,高率で発生する偶発症として,閉塞性黄疸が挙げられます。このような閉塞性黄疸に対しては,切除不能であれば,内視鏡を用いた十二指腸乳頭部からの胆管ステント挿入が第一選択治療とされています。胆管ステントは,プラスチックと金属ステントに大別されますが,金属ステントのほうが長期の開存期間が期待され1),その後の化学療法等を円滑に実施できるため,大多数の施設で選択されています。

    しかし,金属ステントは,メッシュの間隙からステント内腔へ腫瘍組織が増殖(ingrowth)し,閉塞をきたすことがあります。その予防策として,カバー型の金属ステントが開発されました2)。一方,カバー型金属ステントは,カバーの存在により胆管内での固定が不十分となり,胆管内から迷入・逸脱(migration)する懸念があり,必ずしも長期開存が得られるとは言えませんでした。

    最近,migrationを予防するために,非カバーのフレアを有するカバー型金属ステント等が登場し,ingrowthおよびmigrationの頻度を軽減し,長期の開存期間が得られるようになってきました3)

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