【質問者】
菅野 敦 東北大学消化器内科講師
膵頭部癌の患者において,高率で発生する偶発症として,閉塞性黄疸が挙げられます。このような閉塞性黄疸に対しては,切除不能であれば,内視鏡を用いた十二指腸乳頭部からの胆管ステント挿入が第一選択治療とされています。胆管ステントは,プラスチックと金属ステントに大別されますが,金属ステントのほうが長期の開存期間が期待され1),その後の化学療法等を円滑に実施できるため,大多数の施設で選択されています。
しかし,金属ステントは,メッシュの間隙からステント内腔へ腫瘍組織が増殖(ingrowth)し,閉塞をきたすことがあります。その予防策として,カバー型の金属ステントが開発されました2)。一方,カバー型金属ステントは,カバーの存在により胆管内での固定が不十分となり,胆管内から迷入・逸脱(migration)する懸念があり,必ずしも長期開存が得られるとは言えませんでした。
最近,migrationを予防するために,非カバーのフレアを有するカバー型金属ステント等が登場し,ingrowthおよびmigrationの頻度を軽減し,長期の開存期間が得られるようになってきました3)。
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