近年,食道機能検査としてMII-pH検査が注目されている。食道内の電気抵抗を測定することで内容物の性状(気体か液体か)を認識し,センサーを複数個連ねることで内容物の動きを評価する。従来,胃食道逆流(GER)の判定に24時間pH検査が汎用されてきたが,これには非酸逆流を識別できない,酸性飲食物を摂取した際に逆流と判定される,逆流の及ぶ高さに関する情報が得られない,といった問題があった。MII-pHは諸点を解決しGERの実態に迫る検査法である。
日本小児消化管機能研究会はワーキンググループを立ち上げ,本検査のプロトコール案を作成したが,この大本はESPGHAN EURO-PIG standard protocol1)である。解析には種々のパラメーターが登場するが,小児では年齢に応じた正常値が規定されておらず,項目により参考値が示されている。また,成人とは異なり,自動解析後,手動解析での波形の確認が推奨されている。
本検査を用いた小児GERの評価試案も同ワーキンググループで検討されている。わが国ではGER判定の一要件として酸逆流時間率(reflux index:RI)が使われてきたが,試案ではRI,総逆流回数と症状関連指標を考慮している。ただし,胃食道逆流症(GERD)の診断と治療に際しては,本検査結果を鵜呑みにすることは避け,他検査所見にも配慮した総合的判断が必要である。
【文献】
1) Wenzl TG, et al:J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2012;55(2):230-4.
【解説】
齋藤 武*1,吉田英生*2 *1千葉大学小児外科准教授 *2同教授