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HCV排除後のHBV再活性化はどのようにして起こるか?【IFNフリー治療での発生が目立つ。抗ウイルス活性の減弱などが原因として考えられる】

No.4869 (2017年08月19日発行) P.62

田中靖人 (名古屋市立大学大学院医学研究ウイルス学分野教)

登録日: 2017-08-15

最終更新日: 2017-08-15

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  • 直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAA)によりC型肝炎ウイルス(H CV)を排除すると干渉作用が消失するためB型肝炎ウイルス(HBV)の再増殖が起こることが知られるようになりました(HBV再活性化)。C型肝炎のインターフェロン(IFN)治療が主流であったときにはこのような現象は生じなかった(問題なかった)と理解していますが,その違いと作用機序についてご教示をお願いします。

    (大阪府 W)


    【回答】

    わが国では,HBVとHCVの重複感染例が少ないので,あまり注目されていませんでしたが,アジア諸国では,従来のペグインターフェロン(Peg-IFN)・リバビリン併用療法によるHBV再活性化(HBV-DNA上昇)の報告は複数あります1)2)。その多くは,肝機能正常あるいは軽度肝障害にとどまり,臨床的には問題視されていませんでした。

    IFNフリー治療になりHBVの再活性化が注目されるようになった理由として,主にHBs抗原陽性例においてですが,治療早期(4~8週)からHBV-DNAが上昇して肝障害を引き起こす頻度が高いことが考えられます3)4)。要因として,以下の2点が挙げられます。

    ①IFNフリー治療では,治療開始早期からHCV排除が可能となり,直接干渉作用がある場合,HBVの再活性化(HBV-DNA上昇)が引き起こされる。

    ②HCV排除に伴い内因性のIFNおよび誘導遺伝子発現が低下して抗ウイルス活性が減弱するため,HBV再活性化が引き起こされる。

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