現場の疫学に重点を置き、産業医学の研究に生涯を捧げた女性医師の伝記(ステファニー・サンマルチノ・マクファーソン著、東 敏昭、他訳、産業医学振興財団、2015年刊〈第3版〉)
私が厚生労働省在籍時の元上司であり、今もなお人生のお師匠でもある椎葉茂樹氏(厚生労働省医政局審議官、2017年7月時点)は要所要所で私の人生を良い方向に導く助言をする。私は日本健康会議の実行委員に任命されており、企業に健康経営を推進する立場でありながら産業医の資格を持っておらず、産業医の研修を素早く都内で済ませようとしていた。そのときに「本気で産業医をするなら産業医大に行け」と椎葉氏から強く勧められ(正確には叱られ?)、産業医大の研修を申し込んだ。同時に椎葉氏から手渡されたのが本書である。
アリス・ハミルトンはハーバード大学医学部初の女性教授であり、米国の産業医学のパイオニアとして知られるが、恥ずかしながらまったく知らなかった(ちなみに、私は大阪大学の女性活躍の専門家として特任教授もしているのに)。医学部学生における女性の比率は高まっており、日本においてもっと知られてもよいだろう。
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