【質問者】
真野鋭志 真生会富山病院消化器センター長
NASHとNAFLの鑑別は,肝生検以外に確定できる検査法はありませんが,全国多施設共同研究(Japan Study Group of NAFLD)の619例の検討から,①血清フェリチン高値(女性200, 男性300ng/mL以上)かつ空腹時インスリン高値(10μU/mL以上),②4型コラーゲン7S高値(5ng/mL以上)のいずれかを満たすとNASHの可能性が高いことが明らかになっています1)。
予後に寄与する因子は,肝線維化であることが明らかになり2),NASHとNAFLとの鑑別よりも,高度線維化NASHをいかに鑑別するかが重要視されています。ステージ3以上の肝線維化の鑑別にはFIB4 indexやNAFLD fibrosis score(NFS)の有用性が示されています3)。FIB4 indexやNFS低値例では,陰性的中率が高いことから肝生検を施行する必要性は低く,高値例では,高度線維化の可能性が高くなります。ほかにもMac-2結合蛋白やサイトケラチン18など新規のパラメータの研究も進んでいます。フィブロスキャン(10kPa以上)4)やMRエラストグラフィ(3.0kPa以上)5)などの画像診断の有用性も確立されていますが,導入されている施設が少ないのが現状です。以上のように現在のところ明確な肝生検の適応基準はなく,上記のようなスコアリングシステムや画像診断を参考に個別に判断することになります。
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