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我、氷島を往く(その4)─偉大なる小国家[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(167)]

No.4873 (2017年09月16日発行) P.73

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2017-09-13

最終更新日: 2017-09-12

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  • アイスランドで驚いたのは物価の高さである。物にもよるが、日本の2~3倍といった感覚だ。リーマンショックの時に経済破綻したはずやないか、どないなっとんねん、えらそうに。と思って調べてみた。

    金融危機に際し、全銀行の国有化などのドラスティックな対応をとり、通貨為替が一旦は暴落するにはした。しかし、そのおかげで輸出と観光が好調になって、すでに奇跡的な回復を遂げたとのこと。いまや1人あたりGDPは約6万ドルで世界7位と、約4万ドルで世界22位の日本よりはるかに上だ。すみません、あなどってました。

    小さな国だからこそできた施策だろうけれどあっぱれだ。その小ささと流動性の低さが活かされたゲノム研究も有名である。人口30万人ほどの国で、10万人以上の遺伝子型の関連解析がおこなわれ、病気について非常に多くの知見がもたらされている。

    もうひとつ驚いたのは、電力供給の7割が水力発電、3割が地熱発電と、すべてが再生可能エネルギーでまかなわれていることだ。レイキャビク郊外には、煙をもくもくとあげる地熱発電所があるし、世界最大の露天風呂ブルーラグーンのお湯も、地熱発電につかった温泉の再利用である。

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