呼吸不全、白血球数70000/mm3、肺高血圧をきたした百日咳症例(生後14日)を前任地PICU勤務時代に経験した。
当時は、院内で百日咳遺伝子検査はできず、他の専門機関に依頼したが、結果は早くても翌日。呼吸不全の進行が早く、このままでは数時間後には体外循環(ECMO)に至る可能性のある呼吸状態だった。
百日咳の呼吸不全に対して、白血球除去は有効かもしれないという観察研究がある。早期に白血球数を減らし、肺高血圧を改善し、呼吸状態悪化を避けたいが、百日咳の確定診断がついていない。母親も出産前より咳をしており(未診断)、リンパ球増多がみられ、細菌性肺炎は気管吸引痰のグラム染色より否定的であり、臨床的には百日咳の可能性が高い。
そこで、血液塗抹検査を夜間緊急で依頼し、核の切れ込みを伴う幼若なリンパ球、いわゆる“baby butt”を確認できたため、百日咳の蓋然性が高いと判断し、緊急で交換輸血することを決断できた。その後、白血球数も減少し、呼吸状態も改善した。後日、百日咳菌遺伝子が検出(培養も陽性)された。
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