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日医総研「日本の医療に関する意識調査」から何が読みとれるか?[深層を読む・真相を解く(68)]

No.4876 (2017年10月07日発行) P.20

二木 立 (日本福祉大学相談役・特別任用教授)

登録日: 2017-10-06

最終更新日: 2017-10-04

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  • 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は本年7月、「第6回日本の医療に関する意識調査」を発表しました(本年4月実施。「日医総研ワーキングペーパー」No.384)。調査は全国の満20歳以上の男女4000人を対象にした個別面接調査で、1200人から回答を得ています(有効回収率30.0%)。

    日医総研は2002年から2017年まで2~4年おきに調査を行っており、主席研究員の江口成美氏が毎回担当しています。調査の基本的調査項目は同じで、適宜、新規項目が追加されています。対象は第1~3回は国民・患者・医師、第4回は国民・患者でしたが、第5・6回は国民のみに限定されています。

    このように長期間にわたって行われている同種調査は国内はもちろん、国際的にもほとんどないと思います。有効回収率が低いという弱点はありますが、日本の医療に関する国民の意識、その変化と不変化が分かる貴重な調査です。以下、過去の調査結果とも比較しながら、第6回調査(以下、本調査)から読みとれることを検討します。

    医療満足度の向上

    日医総研の調査でもっとも優れていることは、第2回調査(2006年)から「医療への満足度」を「受けた医療の満足度」と「日本の医療全般の満足度」(医療制度満足度)に区別し、毎回同じ質問をしていることです(第1回は前者のみ)。両者を区別し、しかも両方について調査している調査は国内には他になく、国際的にもごく珍しいと思います。

    注目すべきことは、「受けた医療の満足度」と「日本の医療全般の満足度」の両方が第3回調査(2008年。当時は医療危機・荒廃が社会問題になった)以降、毎回高まっていることです(17頁)。

    「受けた医療の満足度」(満足+まあ満足)は、2008年の79.7%から2017年の92.3%へと9年間で12.6ポイント上昇しています。「日本の医療全般の満足度」は、50.9%から74.2%へと23.3ポイントも上昇しています。「受けた医療の満足度」は常に「日本の医療全般の満足度」よりも高く、これは海外の調査結果とも一致しています。第1~4回調査では、「受けた医療の満足度」は常に、「国民」より「患者」が高くなっていました。

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