戦後最大の大災害となった東日本大震災の発生からまもなく5年が経つ。本誌では今月、4週にわたり、被災地の現在の医療体制や、東日本大震災から見えてきた災害医療のあり方をリポートする。
松原に残る「奇跡の一本松」が話題となった岩手県陸前高田市。東日本大震災による津波で破壊されたかつての市中心部は現在、町の再建に向けた盛り土工事が続いている。
陸前高田市の医療体制は現在、「過渡期を迎えつつある」と震災前から同市で内科診療所を開業する鵜浦章院長(気仙医師会副会長)はいう。被災から5年を一区切りに、これまで市内の医療を支援してきた医師の手が引いていくためだ。
鵜浦氏は親子2代にわたり鵜浦医院を経営。震災で診療所は流されたが、約2カ月後に高台で仮設の診療所を再開、2012年6月に医院を再建した。
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