直接作動型抗ウイルス薬(DAAs)はNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬,NS5A阻害薬,NS5Bポリメラーゼ阻害薬の3クラスの薬剤の開発が進み,臨床で使用可能となっている
DAAsは当初,インターフェロン(IFN)と併用されていたが,複数のクラスのDAAsを併用するIFNフリーが現在では治療の主役となりつつある
DAAs併用療法は安全性も高く,著効率も90%後半を期待できるようになった
DAAsはHCVのウイルス蛋白を直接標的としているため,IFN治療では問題とならなかった耐性ウイルスが問題となる
DAAs治療不成功例では耐性ウイルスが高率に出現し,NS5A耐性ウイルスは自然界にも比較的高い割合で存在する
つい最近までC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)に対する治療薬は,インターフェロン(interferon:IFN),リバビリンの2剤を中心に開発され,その治療成績はペグインターフェロン(Peg-IFN)などにより着実に向上してきた。しかしながら,高齢者,高度線維化症例,他疾患合併症例などでは副作用,治療耐性の問題があり,また,IL28Bの遺伝子多型の解析からIFN治療での絶対的な難治症例の存在が明らかとなり1),異なる作用機序の新たな抗HCV薬が求められていた。
1989年のHCV発見後,in vitroでのHCV培養系が開発されたことに加え,HCV蛋白の結晶構造解析による構造決定,HCVの分子生物学的機能解析の進展によりウイルス蛋白を直接標的にした直接作動型抗ウイルス薬(direct acting antiviral agents:DAAs)が開発された。DAAsの開発は急速に進展し,全世界において臨床試験が多数行われ,良好な試験結果も報告され,臨床への導入も急速に進んでいる。現在,開発が進んでいるのは主にHCVの3つの領域である,NS3/4Aプロテアーゼ,NS5A蛋白,NS5Bポリメラーゼを標的としたDAAsである(図1)。
本稿ではNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬,NS5A阻害薬,NS5Bポリメラーゼ阻害薬を中心としたDAAsの種類,特性,作用機序,耐性ウイルスについて概説する。
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