元内閣官房社会保障改革担当室長の中村秀一氏(国際医療福祉大院教授)が19日、都内で開かれたシンポジウム(主催:医療経済フォーラム・ジャパン)で講演し、社会保障・税一体改革に関して「医療・介護制度改革のゴールを2025年から2040年へ『リセット』する必要がある」との見方を示した。
中村氏は「団塊の世代が75歳以上になり、医療・介護需要が増大する2025年というタイムリミットがある中で、財源となる消費税率10%引上げが(当初の15年10月から)4年遅れている」と問題視。「『2025年問題』と言っているが、高齢者人口がピークを迎えるのは42年。(改革の射程を)『2040年問題』にリセットして医療・介護の体制をつくることが課題になる」と述べた。その上で、今後求められる政策の方向性として、①「全世代型社会保障」の実現、②再分配機能の強化、③負担能力別の負担への転換─などを挙げた。
中村氏は2018年度診療報酬・介護報酬同時改定にも言及。診療報酬については「薬価引下げ分の財源が出ない限り、プラス改定は相当厳しい」とし、介護報酬についても「財源がない中で今年度に介護職員の処遇改善を目的とした特別改定があり、18年度改定分の財源を先食いした形とも言える」と指摘。「厳しい同時改定になる」になるとの見立てを語った。