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C型慢性肝炎のDAA治療と耐性ウイルス【DAA治療は高い著効率を得るも,不成功例において耐性ウイルス株が高率で出現】

No.4879 (2017年10月28日発行) P.50

疋田隼人 (大阪大学消化器内科学内講師)

登録日: 2017-10-31

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C型肝炎ウイルス(HCV)非構造蛋白(NA3/4A,NS5A,NS5B)に直接作用してウイルス増殖を阻害するdirect-acting antiviral agents(DAA)の登場により,C型慢性肝炎の治療はインターフェロン(IFN)を基軸とした治療から,IFNフリーDAA治療(以下,DAA治療)へと大きく変化し,著効率も90%を超えてきた1)。一方で,DAA治療によるウイルス排除不成功症例では,使用したDAAに対する耐性変異が高率に出現する。特にNS5A領域のL31M/VやY93H,P32Δなどの耐性変異の出現は,複数のDAAに共通する耐性変異であり,他のDAAに対しても耐性(交叉耐性)となる。耐性変異の出現機構としては,①感染しているHCVは単一のクローンではないため(クアシスピーシス),もともとマイナーなクローンとしてわずかに存在するDAA耐性ウイルスが,DAA治療により選択的に増殖する機構,②HCVは変異しやすい特性があり,DAA治療中に新たに耐性変異を獲得する機構,の2つが想定される。

筆者らはキメラマウスを用いたHCV感染実験および臨床検体を用いた解析により,①,②のいずれの機構もDAA治療による耐性変異の出現に寄与していることを明らかにした2)。DAA治療不成功例で出現する耐性変異は,再治療による治療効果に大きな影響を与えるため,交叉耐性を十分考慮して再治療法を検討しなければならない。

【文献】

1) Webster DP, et al:Lancet. 2015;385(9973): 1124-35.

2) Kai Y, et al:Sci Rep. 2017;7:41660.

【解説】

疋田隼人 大阪大学消化器内科学内講師

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