高齢者では偽痛風発作はめずらしくない。単関節炎で強い炎症反応を伴い、X線で関節の軟部組織に微細な石灰化がみられる。穿刺して、白血球に貪食された針状結晶が確認できれば、結晶の性状からピロリン酸カルシウムによる偽痛風と確定できる。
しかし、診断が困難な部位にも偽痛風発作は発症するから厄介だ。その代表が、環軸関節偽痛風である。主に環軸関節十字靱帯の横靱帯に発症する。単純写真では描出困難であり、穿刺も困難である。
2005年から環軸関節偽痛風発作と思われる症例を経験するようになったが、CT検査を行っても石灰化病変は見つからない。文献を収集するとcrowned dens syndrome(CDS)が環軸関節偽痛風の画像診断上の呼び名として紹介してあった。そして、後縦靱帯骨化症のような異常骨化ではなく、微細な石灰化であり、骨条件ではなく軟部組織を観察する条件で画像をつくることが必要だとわかった。
その後、実験を繰り返して、CDS診断のための最適条件の再構成関数を確定し、CTオーダーのメニューに加えた。
高齢者の原因不明の激しい後頭部痛の原因として環軸関節偽痛風発作は稀なものでないことがわかった。2008年3月8日、私のブログで紹介したところ、大勢の方に閲覧していただき、今日まで5000弱ビューとなっている。
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