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【他科への手紙】病理診断科→放射線科

No.4881 (2017年11月11日発行) P.51

市原 真 (札幌厚生病院病理診断科医長)

登録日: 2017-11-08

最終更新日: 2017-11-07

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  • 平素より多数のご示唆を頂き恐悦です。皆様に画像診断を教えて頂きながら、画像と病理の関係に思いを馳せる毎日です。近年は「癌腫(上皮性悪性腫瘍)の放射線診断においては、癌細胞そのものよりも癌周囲の間質のほうが重要なケースがある」ことが気になっており、一筆啓上いたします。

    常々、このようなお問い合わせをいただきます。「膵癌の造影CTにて、腫瘍のサイズを長径1.5cmと読影したが、病理診断書には2.5cm大とあった。この乖離はなぜ起こるのか」「直腸癌で膀胱浸潤の可能性ありと読影しても、多くの場合、膀胱浸潤まではきたしていないのだが、何か理由があるか」「食道癌の放射線治療後、画像で予測した腫瘍量と病理学的な腫瘍量とが必ずしも一致しないのはなぜか」といった具合です。

    これらは、いずれも、癌腫の画像診断が、癌細胞そのものだけではなく、「癌細胞+周囲に形成された線維性間質」を併せて読んでいるために起こる難しさであろう、と推察しております。

    癌周囲に線維性間質が形成されることはdesmoplastic reaction(DR)と呼ばれております。DRは個々の症例ごとに千差万別ですが、原則的にDRがあるとがんの腫瘍量や血流変化がより際立つため、DRがはっきりあるがんのほうが診断がしやすく、DRが少ないがんは読みづらいように感じます。

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