No.4882 (2017年11月18日発行) P.74
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2017-11-15
最終更新日: 2017-11-14
ときどき悪い夢を見る。細部は違うが、おおきく3つのパターンがある。そのうちのひとつは、朝、目が覚めたら、毒虫になっていた、ではなくて、歯が一斉に抜け始める、というものだ。すでに少なくなった毛が一斉に抜けるよりも、はるかに恐い。
子供の頃から虫歯が多かった。歯磨きは朝起きてすぐ、それも短時間。寝る前にお菓子を食べる。など、いまから考えてみれば、歯科衛生的に好ましくないことばかりしていたのだから当然である。
中学生の頃通っていた歯医者さんに、このままでいくと40歳くらいには総入れ歯になる、と脅された。きっとそれがトラウマになって悪夢を見るに違いない。
しかし、幸いなことに、還暦になった今までに失った歯は2本だけである。不思議なことに、20歳代後半からほとんど虫歯ができなくなったのだ。よく歯を磨き、デンタルフロスを使うようになったからだろうか。あるいは、虫歯になりそうな歯が、すべて虫歯になってしまったからだろうか。
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